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ヘルパンギーナ のどが痛くなる夏かぜ

ヘルパンギーナとは

ヘルパンギーナは夏かぜのひとつで、急な発熱や喉の痛みが特徴です。のどが真っ赤になって、小さな水ぶくれができます。水ぶくれの一部は潰瘍になってとても痛みます。高熱が2〜3日ほど続きます。

患者のほとんどは乳幼児で、5歳以下が90%を占めるといわれています。

ヘルパンギーナの原因

原因となるウイルスは「エンテロウイルス属」のウイルスです。その中でも「コクサッキーウイルスA群(CA)」が多いとされていますが、「コクサッキーウイルスB群(CB)」や「エコーウイルス」、「エンテロウイルス71型」などが感染していることもあります。

感染様式は、「飛沫感染」と「接触感染」です。症状から回復した後も2〜4週間という長期間にわたって便の中にウイルスが排泄されます。

ウイルスが体の中に入って症状が現れるまでの期間(潜伏期間)は、3〜6日といわれています。

ヘルパンギーナの症状

急に熱が上がり2~3日間ほど高熱が続きます。口の中から喉にかけての痛みが強く出ます。軟口蓋から口蓋弓にかけて(口の中の天井の奥の部分)数ミリほどの大きさの水疱(水ぶくれ)ができます。水疱は破れて浅い潰瘍を形成するため、強い痛みを伴います。この痛みのため、不機嫌、食欲低下、哺乳障害など現れます。

高熱が出たときに熱性痙攣を起こすこともあります。また、ごくまれですが、無菌性髄膜炎や急性心筋炎を合併することもあります。

ヘルパンギーナの治療法・予防法

特別な治療法はなく、発熱や痛みに対してアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使うことがあります。水分補給が上手にできずに脱水などがみられるときにはそれに対する治療も行います。

予防法にも特別なものはありません。感染している人との濃厚な接触を避け、流行時には手洗いなどを心がけます。

残念ながらワクチンはありません。

出席停止について

学校保健法における取り扱いでは、学校において予防すべき伝染病として定められていないので、「出席停止の扱いをするもの」とはなりません。ただし、流行が大規模であったり保護者間で不安が多い場合などは学校長が学校医と相談をして対応を決めると解釈できます。

ヘルパンギーナの原因となるウイルスは、急性症状が回復した後も長い間便のなかに排泄されているので、急性期の登校登園停止を行ったとしても、流行の阻止効果は期待できません。登校登園の可否は、感染した本人の体調次第で判断すべき疾患です。

名前の由来

「ヘルパンギーナ」、最初聞いた時に必殺技か何かと思いましたが、Herpanginaは、HerpesとAnginaが合わさった言葉だそうです。どちらもドイツ語で「Herpes」は疱疹とか水ぶくれ、「Angina」はのどの炎症という意味です。のどに水ぶくれができる病気です。日本語では「水疱性口峡炎」というイカツイ名前もありますが、実際に使っている人に会ったことはありません。

おうちでのケア


口の中の痛みで経口摂取が少なくなりますが、こまめに水分補給を行なってください。ぐったりしている時などは、ためらわず医療機関を受診しましょう。つらそうな時は解熱鎮痛薬を早めに使ってあげてください。内服薬が難しい時は、熱冷ましの坐薬など処方してもらえないか相談してください。