今シーズン使用できるインフルエンザワクチンは2種類あります。
インフルエンザHAワクチン | 注射のワクチンです |
フルミスト® | 経鼻弱毒生ワクチンです |
従来のインフルエンザワクチンはこのインフルエンザHAワクチンです。皮下注射のワクチンです。複数の製造会社から販売されています。インフルエンザウイルスA型2種類とB型1種類に対応した3価のワクチンです。
今シーズンからインフルエンザHAワクチンは4価から3価になりました。3種類のインフルエンザウイルスに対応しています。
インフルエンザワクチン2025/2026の推奨株
A/ビクトリア/4897/2022(H1N1)pdm09
A/パース/722/2024(H3N2)
B/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)
昨シーズンのA/Calfornia(カリフォルニア)/122/2022が変更されて、今シーズンはA/パース/722/2024(H3N2)が採用されました。

B型インフルエンザウイルスに関しては、ビクトリア系統のみが含まれていて山形系統は含まれていません。数年前から山形系統が検出されていないためです。
インフルエンザHAワクチンは、6か月以上の赤ちゃんから接種できます。 6か月から2歳の乳幼児は1回の接種量が0.25mLです。4週間の間隔をあけて2回接種します。3歳以上は1回の接種量が0.5mLです。4週間ほど間隔をあけて2回接種します。13歳以上の接種回数は1回または2回です。
インフルエンザHAワクチンは皮下接種のワクチンです。筋肉内接種ではありません。
添付文書では2回接種をする際の間隔を13歳未満のものでは2~4週、13歳以上では1~4週としていますが、「免疫の効果を考慮すると4週間おくことが望ましい」とも記載されています。当院では、特に事情がない場合は4週間以上の間隔で2回目の接種を行っています。
6か月から2歳 | 4週あけて2回 | 1回に0.25mL 皮下接種 |
3歳から12歳 | 4週あけて2回 | 1回に0.5mL 皮下接種 |
13歳以上 | 1回あるいは4週あけて2回 | 1回に0.5mL 皮下接種 |

2回目は4週以上あけて接種します。せっかくなので効果的な方法が良いですよね。
6か月を過ぎたら接種をおすすめします。0歳児には接種しても効果ないと説明している医師がいまだにいます。何時代の感覚だっつーの。

JD、毒はいてますよ。
最近では少なくなったのですが、インフルエンザHAワクチンはチメロサールが添加されているワクチンです。製品の形態によってはチメロサールが添加されていないもの(チメロサールフリー)もあります。
チメロサールとはエチル水銀を含む化合物で、ワクチンの品質を保つため防腐剤として使われています。水銀には、とくに健康に関しては、あまりいい印象が無いですよね。かつて環境汚染で問題になったのはメチル水銀です。長期間体内に残存して中枢神経系などが影響を受けました。
エチル水銀はこれとは性質の異なる化合物です。エチル水銀は人体への毒性がほとんどないことと、速やかに体内から排泄されることから100年近く防腐剤としてワクチンに添加されてきました。ワクチンに添加されている水銀の量は極微量となっていて、食物から摂取する量のほうが多いこともあります。
一時期、ワクチンに含まれる水銀が「自閉症」の原因になっていると主張する人がいましたが、これについては公的な機関により明確に否定されています。
とはいえ、微量であっても人体に用いる医薬品に水銀が含まれることは望ましくないとしてチメロサールを含むワクチンは少なくなっています。
インフルエンザHAワクチンは、製剤によってはチメロサールを極微量添加されていますが、チメロサールフリー(チメロサールが添加されていないもの)もありますので、どうしても気になるという人はチメロサールフリーのワクチンを選択すると良いと思います。
チメロサールが添加されているワクチンはそうでないワクチンに比べて、接種部位の腫れ、痛み、アレルギー反応が多いといっているクリニックがありますが、そのような報告はありません。事実ではありません。チメロサールは安全性が確認されている防腐剤ですが、ごくまれに接種部位の発赤などが起こり得るといったレベルです。これは他の多くの安全な添加物でもみられることです。定められた用量の使用では問題はありません。

「強いてあげればこのような副反応が理論上起こり得ます」という話を「これが入っているワクチンは副反応が出やすくなります」という話に捻じ曲げて、いたずらに不安感を抱かせることは誠実ではないと思います。そこからチメロサールフリーのワクチンに誘導し、流通量の都合で受付を制限する流れを見てきたものからすると、「インフルエンザワクチン接種をしたくないというのが本音だな」と思います。正直なところインフルエンザワクチンを接種する時間を診療に当てたほうが収益は上がります。

JD、話が長いですよ。

詳しくない人がチメロサールを怖がる気持ちはよくわかります。
チメロサールが添加されていないインフルエンザワクチン「フルービック」も準備しています。
経鼻インフルエンザワクチンは2023年承認され2024年から流通しています。
商品名は「フルミスト」といいます。フルミストは鼻に噴霧するワクチンです。内容は毒性を低くし、かつ活性を持った(増殖能を持った)インフルエンザウイルスです。毒性を低くしたウイルスを接種することで免疫をつけます。アメリカなどでは早くから使用されています。当院でも個人輸入の形で10年前から接種しています。好評です。
フルミストは昨シーズンから3価になりました。B型インフルエンザウイルスのうち「山形系統」と呼ばれるグループが使われないことになりました。「山形系統」のウイルスは近年全く検出されていないのが採用されなくなった理由です。合理的です。
フルミスト2025/2026の製造株
A/ノルウェー/31694/2022(H1N1)
A/パース/722/2024(H3N2)
B/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)
昨シーズンの製造株のA/タイ/8/2022(H3N2)がA/パース/722/2024(H3N2)に変わった以外は同じ株です。

注射のワクチンと「フルミスト」では使用されているウイルス株が一部違うのですが、効果は同程度みたいです。
接種対象者は2歳以上19歳未満です。
アメリカなどでは2歳から49歳が対象ですが、国内では19歳以上の方は接種できません。
両方の鼻の穴に0.1mLずつスプレーします。ごく少量ですし、刺激はほとんどありません。
今シーズンのインフルエンザワクチン接種の開始は、10月の上旬を予定しています。
インフルエンザHAワクチンの接種料金は、1回3,800円(税込)です。
フルミストの接種料金は、1回8,000円(税込)です。
必ず予約してください。受付で直接あるいは電話でお願いします。ネットでの予約はできません。ネットからの予約は無効とします。
フルミストについては予約アプリの「M3デジカルスマート診察券(デジスマ)」からの予約をお願いしています。デジスマからの予約時には必ず問診の入力まで済ませてください。お願いします。
予約の受付は9月29日月曜日からです。
「M3デジカルスマート診察券(デジスマ)」は下のサイトからダウンロードできます。

必ず予約してください。ネットからは予約できません。
フルミストだけは「デジスマ」から予約できます。
予約時に問診の記入もお願いします。

いつ接種したらいいですか?

今シーズンは早めの接種を勧めています。なるはやでよろ。

なんか古くて嫌